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ちはるの凹凸裏日記
本誌の連載『凹凸日記』とこの『凹凸裏日記』を一冊にまとめた『BocoDeco』が4月28日に発売となります! トシミさんとの生活や初めての子育て…、このあとのフラット生活の続きは本で! ひとりの女性として、母として、これからどんな道をたどっていくのか。『BocoDeco』は好評予約受付中です!
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フラット生活 〜“母”になり過ぎる〜
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   子供の名前を考え始めたのは、出産の1ヵ月前。
 というのも、それまでずっと女の子だと言われていたのが、9ヵ月の検診で初めて超音波にオチンチンの影が映って、実は男の子だとわかったからだ。
 先月まで、どこに隠していたんだろう? でも、こういうことは少なくないらしい。
 女の子の名前をいろいろと考えていたので、急に男の子って言われちょっと残念な気持ちになったけど、それならばと切りかえた。

 最初の候補は“サンタ”。トシミさんも私も3という数字に縁があったからなんだけど、長男なのに“サンタ”でもねぇということになり、却下。
 トシミさんがロバート・デ・ニーロが好きで、“デニロウ”なんて候補もあったけど、漢字はどうしても当て字っぽくなってしまうので、これもボツ。考え疲れてきた予定日の10日前、2番目のお兄ちゃんから電話がかかってきた。
 「ねぇ、お兄ちゃんなら自分の子供になんて名付ける?」
 「俺は昔っから、男ならトーイって決めてる!」とキッパリ。
 ん? トーイ? そういえば、お兄ちゃんが昔から大事にしている漫画コレクションの中に、そんな名前の主人公がいたなぁと思い出した。するとその響きが頭から離れなくなってしまった。漢字に置き換えてみると、けっこうすんなり『登生』って思いついて、これは素敵!と一気に盛り上がった。
 字画を見てもらっても凄くいいらしい。これは兄貴を説得せねばと連絡すると、
 「俺が名付け親ってことを忘れるなよ!」
 とブツクサ言いながらも了承してくれた。
 「登って生きていくのはつかれそうだね」とか「もう少し普通の名前にしたら」と、まわりからはあまり好評じゃなかったけど、私達夫婦には妙にしっくりきていた。
 「常に上を目指して前向きに生きて欲しいもんね」
 「よし、あだ名はシャケにしよう!」
 と二人して我が子の名前に大満足。そんな風に私達の息子は“トーイ”という名前に決定した。

 子供を産んだ瞬間感じるのは、「ヤッター! 終わったー!!」という大きな達成感。
 妊娠はスタートで、出産はまさにゴールって感じだった。でも実は出産からがスタートだ、ということを、退院してから嫌というほど実感した。
 病院にいたときからトーイの泣きっぷりには手こずっていたけど、他の赤ちゃんも泣いているし、みんなそんなものだと思っていた。でもトーイはとにかく眠らない赤ちゃんだった。続けて寝てくれるのは最長でも2時間。起きている間は、ほとんどグズっている。
 赤ちゃんは泣くのが仕事と思い込むようにしても、最初のうちは泣かれると“理由は何なの?”と自分を責めたり、“何か病気じゃないかしら”と恐怖感に襲われたりして、カラダも気持ちも休まる暇がなかった。
 何をしても泣きやまないから「も〜、いい加減にしてぇ〜」って、夜中、しょっちゅう一緒になって大泣きした。
 大変な思いをして産んだ子供は、もちろんかわいい。かわいいけどそれはそれとして、「もう一度、お腹に戻ってくれればいいのに…」と思ったことも幾度もある。つわりもなく順調に育って超安産。それまでができ過ぎだったから、余計ギャップが大きかったのかもしれない。
 外に出られないとか、自分の好きなことができないとか、もうそんな次元じゃない。
 ただ「眠りたい!」。最初の1ヵ月は、それがいちばんの願いだった。

 トシミさんも協力してくれようとするけど、さすがに母乳は出せない。しかも始めての育児というのは、どうもマイナス指向になりがちで、
 「こうしたら、いいんじゃないか?」
 と思う前に、
 「こうしたら、よくないんじゃないか?」、
 という考えが先に立ってしまう。
 おしゃぶり事件というのがあった。私は、あまり小さいうちからくわえさせるのは良くないんじゃないかと思っていた。でもどのタイミングでそれを使ったらいいのかわからない。そんなある日、私がうたた寝してして目を覚ますと、トシミさんがトーイにおしゃぶりをくわえさせている。
 「何してるの!? ねぇ、消毒はしたの? もう、勝手なことしないでっ!!」
 と彼を責め立ててしまった。イライラのし通し、完全な育児ノイローゼだ…。

 でも親も成長するものだ。
 ビクビクしながら赤ちゃんに接している時期は、やがて自然に通り過ぎていった。これじゃ自分の体が持たないってところまで追い詰められると、いい意味でヤケになる。考える余裕がなくなった分、とにかく手当たり次第に試してみたり、人の好意にすがれるようになった。そして赤ちゃんもそれを問題なく受け入れてくれたのだ。ストレスからか出なくなってきた母乳を、思い切ってミルクに代えてみたことも、ずいぶん楽にしてくれた。

 トシミさんに勧められ、産後3ヵ月を過ぎたあたりから、ポツポツと始めた仕事は、かなりリフレッシュになった。仕事から帰ってくると、心配していたトーイは、いつもよりぐっすり寝ていてくれたりした。
 “私だけしか出来ない! わからない!”と、頑なだった気持ちは、いつの間にか自分も周りも追い詰めていたんだなぁと、つくづく実感する。余裕がない親の気持ちは子供にも敏感に伝わっていくものなんだ。

 少しづつ経験を積んで、私はまた甘え上手な”ちぃちゃん”に戻っていった。
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ちはる/1970年3月24日生まれ。ミュージシャンの夫・渡辺俊美さんと愛息・登生君の3人家族。
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